帰ってきた皆の雰囲気は見上げた空のように晴れてはいなくて


tough-minded



無理に気分を変えようとしたところで空回るのは目に見えている。


私がいると話しづらいかも知れないと感じて
そっとその場所から抜け出した。


一緒にいるけど私がここに来る前から皆は共に行動していた。
危険な戦闘だって経験している。

気にすることじゃない、とは割り切れず
見えないけど確実にあるその距離に少しだけ寂しさを感じていた。



自傷気味の自分にため息をついた目線の先に
風の中にたたずむアーシェを見つけたのは偶然で―


何かあったのは彼女の様だ。
その表情は切なくて

「どうしたの」

「何でもないわ」

聞いて答えるような雰囲気だったら
逆に聞かなかったかもしれない。
何だか今の自分を見てる感じがして少しだけ嫌だった。

「そう、ならそんな顔するべきじゃないわ」

「ー・・何それ」

「心配して下さいって、そんな感じ」

キッ睨みつけるようなアーシェの視線を浴びながら
それでも動じずその場に留まる

「誰もそんな事頼んでないじゃない!」

「辛さが顔に出て、皆に心配かけてる位ならそんな強がり意味ないと思う」

「私はっ、、―そんな事」

「私とアーシェは違う、でも」

ゆっくり歩み寄り頬にかかった髪を掬い上げそっと頭を撫でる

「他人だからこそ出来る事もあると思うの。
 もっと頼るべきよ、恥ずかしい事じゃないから」



今にも泣き出しそうなアーシェの手を取り歩き出した。
その方角の先はヴァンとパンネロの姿―

「一人の辛さ、シュトラールにいる皆は知ってるわ」

ポンと背中を押し笑顔でその様子を見守った。






「アーシェは強いね」


岩陰から現れたバルフレアに向って●は言葉を投げかけた


「どうだろうな」

「もしかしてバルフレアの役目取っちゃったかしら」

「さぁ」


腕組みをして横に並んだバルフレアから
●は目線を感じて顔を向ける


「何?」

「お前も強情だからな」

「私、これでも自覚はあるから心配しないで」

「だから余計に厄介なんだ」

「大丈夫よ」

フフッと笑う私をよそに溜息をついたバルフレアが
真剣な口調で呟く

「―そんな訳ないだろ」

大丈夫だと言い切ってしまうから余計に心配なのに。


「それでも自分の限界は分かってるつもりだから」

アーシェに送った言葉は本当は誰に向かって言っていたのか。

だから

「辛くなったら行くわ、バルフレアの処に」

「約束しろよ」

「ええ、約束ね」




そう言って差し出された指を見つめ
ガキかよと声が出そうになったが押留めた

子供の様なままごともでも
指を交わすだけでそれが保障されるなら、とそう思い
重ねた互いの小指―